FX相場の情報のつかみ方〜情報戦を制するためには〜

ユーロは、昨年終盤の高値から今年の安値まで対ドルで約12%、対円で約13%売られました。
その後買戻しの動きが優勢となって、特に対円では半値戻しの水準近くまで上昇しています。
先週末には、ユーロ圏諸国とIMF(国際通貨基金)によるギリシャ支援策も発表され、さらに安心感が広まっていると考えられますが、はたしてこの動きが今後も続いてユーロ高傾向は継続するのでしょうか?
  • ユーロは昨年末から大幅下落となるも、このところ買戻し優勢の展開に。

    先週末、ユーロ圏諸国とIMF(国際通貨基金)によるギリシャ支援策が発表され、さらに安心感が広まっている。

  • 昨年末からのユーロ下落の大きな要因は、ギリシャの財政悪化と、ギリシャ国債の値下がり。
  • 4月11日、ユーロ圏の財務相電話会議で、ユーロ圏諸国とIMFによる協調融資を行うという支援策が決定された。
  • 支援策発表を受け、ユーロ買い優勢の展開になっているが果たして今後も継続するのか!?

ギリシャ問題とは?ユーロはなぜ売られたのか

昨年末からのユーロ下落の大きな原因となったのが、ギリシャの財政悪化と、ギリシャ国債の値下がりです。

 

世界的な金融危機以降、各国の財政支出が拡大する中、もともと財政基盤の弱かった国々の“ソブリン・リスク”(=国の債務に関する信用悪化)が顕在化してきました。
そういった状況下で、昨年末からギリシャの国債が大きく売られ始めたことで、ギリシャ問題が市場の中心的なテーマのひとつになりました。

 

ギリシャ問題がクローズ・アップされるにつれ、ユーロ参加国に求められている厳密な財政規律を多くの国々が逸脱していることが話題となって、通貨としてのユーロの信認が疑われることとなり、ユーロが大幅に売られたのです。

 

ユーロ圏にはギリシャの他にもポルトガルやアイルランド、イタリア、スペインなど、比較的財政赤字が大きく、また経済基盤も弱い国々がありますので、今後のギリシャ問題の行方次第ではそういった国々にも問題が飛び火する可能性が高いと考えられています。
また、ユーロ圏諸国は単一通貨を採用している為に、独自の金融政策や通貨政策を行うことができません。
その為ユーロ圏諸国は、こういった問題が起きたときに他の国々に対して対処することが困難だ、と考えられています。

ギリシャ支援策の中身と評価は?

4月11日、ユーロ圏の財務相による電話会議が行われました。
この会議で、今後ギリシャが資金調達に窮した時に、ユーロ圏諸国とIMF(国際通貨基金)による協調融資を行うという具体的な支援策が決定されました。
支援の内容は、ギリシャが支援を要請した場合、(1)ユーロ圏諸国による2国間融資、合計300億ユーロを3年間約5%の金利で実施。
同時に(2)IMFが3.25%の金利で150億ユーロ程度の融資を実施、というものです。
この内容は、現在のギリシャ国債(3年物)の金利6.3%前後に比べ相応に低い金利である点や、金額的にも2010年中にギリシャが必要としていると見られる290億ユーロを上回っていることなどで、市場からも一定の評価を得られるものでした。

 

これまでもユーロ圏諸国はギリシャに対して支援を行うものと考えられていましたが、支援に対してドイツが強いアレルギー反応を起こすなど足並みに乱れが見られ、その実現性に疑問が残っていました。
しかし具体的な支援策で合意に達したことで市場に安心感が広まり、これまでユーロの下落を見込んで売っていた投機筋などの買戻しが出たことで、ユーロは値を戻しているのです。

ユーロ相場のこれからは?

支援の具体策が明らかとなったことで値を戻しているユーロですが、今後もこの流れが続いて上昇するのでしょうか?
現在では大きく見方が分かれているようですが、私個人の見解としてはこの上昇は長続きしない、と考えています。

 

現在のユーロ相場の上昇は、あくまでも投機筋による買戻しにすぎず、今回の支援策決定を受けて新規にユーロを買い進む状況とはなっていません。
支援の具体策が合意されたとはいえ、ドイツなどの支援に対する関与には未だに疑問が残っています。
実際にギリシャが支援を要請したとしても、支援策が実行されるかどうかは確証が持てない状況なのです。

 

また今年の為替相場の一番大きなテーマである、各国の景気回復の速度とそれに伴う金利の正常化(上昇)というテーマで考えた時、米国とユーロ圏では大きな隔たりがあります。
これまで順調に回復していると見られている米国に対し、ユーロ圏諸国の回復はまだまだです。
また、すでに一部出口戦略に着手している米国に対し、ユーロ圏諸国にとって出口戦略の実施はまだ優先順位の高い政策ではありません。
したがって、今後金利が正常化する過程で、ドル金利が先行して上昇していくと考えられる中、ユーロを買い進む理由はありません。

 

また、購買力平価(ユーロ/ドル1.15ドル程度、ユーロ/円112円程度)で見た場合、現在はユーロが割高な状態となっており、この面からもユーロ買いが優勢となる理由は見当たりません。

 

以上を総合的に考えると、昨年末からユーロ安が急速に進む中で膨らんできたユーロ売りのポジションの巻き戻しが一巡した後は、再び緩やかなユーロ安の動きに戻る、というのが私の予想です。